11月某日、今日は休日。当然『大先生』は釣り場に赴く。
生徒「どうして、それほど釣りに行くのですか?」
大先生「行かない理由があるかい?」
11月も半ばだというのに、いまだ水面がビッシリと分厚い水草に覆われている。
一般釣り人(素人)なら「釣りにならない!!」と嘆く状態だ。
事実、次から次へと一般釣り人(素人)が訪れるが、この有り様を見て、皆、釣りをせずに去っていく。
しかし、我らが統領『大先生』は違う。
『大先生』は水草などお構いなしに、ルアーを投げ込む。
そうなると、水草ごと魚を引き上げるハードな釣りになる。
「爆釣の向こう側」を手に入れ、「神性」をも獲得した『大先生』にとって、水草などなんの障害にもならない。次々と釣り上げていく。
これでもまだ、本気モードである「釣りの鬼」状態ではない。
実力では『大先生』の師匠である『ヒロ内藤先生』を、すでに上回っているという噂だが、ワールドクラスの謙虚さを備える『大先生』いわく「師匠は一生師匠」。
『大先生』は『ヒロ内藤先生』への尊崇を、決して失くしたりはしない。
『大先生』の釣り様を目の当たりにした一般釣り人(素人)が、祈るかのように『大先生』に尋ねる。
「あなたはいったい何者なのですか?」
「何者でもない」
そう答え、遠くを見る『大先生』の目は、とても穏やかであった…。